難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)を知ってもらうために。

身体が動かなくなっていく難病ALS(筋萎縮性側索硬化症)を46歳で発症した夫を通して学んだこと。

ALSにおける治験について

 ALS(筋委縮性側索硬化症)は進行を遅らせる薬が2種類あるのみで、根本的な治療薬のない病気です。患者は日本でも10万人ほどしかおらず、難病指定されています。

  長い間治療法のない病気とされていましたが、最近では「アイスバケツチャレンジ」などの運動からALS(筋委縮性側索硬化症)への認知、理解が広がりつつある。

 そして、ALSに関する治験も順次始まっています。

 

  【ALSに対して行われている治験】

 ① 幹細胞増殖因子(HGF)第Ⅱ相試験

 

 東北大学大学院と大阪大学大学院と共同でALS患者を対象とする幹細胞増殖因子(HGF)組み換えタンパク質の第Ⅱ相試験を実施しています。

 HGFは幹細胞の増殖因子として発見されました。HGFには運動神経細胞を保護する作用もあり、難病神経疾患への治療薬としての創薬が期待されています。

 HGF組み換えタンパク質を医薬品化するための第Ⅱ相試験を行っています。


 ② メコバラミン第Ⅲ相試験

  メコバラミンはは活性型のビタミンB12であり、末梢性神経障害などの治療薬として1回0.5㎎の容量で保険適用で使用されています。

 ALSに対して1回25㎎または50㎎の高容量メコバラミンを筋注することにより、平均余命(呼吸補助装置の装着あるいは死亡まで)を600日以上延長することが可能であることが分かりました。

 ただし、この結果は、ALS患者全体集団(投与期間最大3.5年、症例数370例)では有意差はありませんでした。しかし、ALS発症後年以内の軽症の患者に対して優位な結果を表しており、安全性も確認されています。

 そのため、今回の第Ⅲ相試験においてはALS発症後1年以内の患者を対象に治験が行われています。

 

③ ロピニロール第Ⅰ/Ⅱa相試験

 慶応義塾大学ではiPS細胞を用いた創薬技術を応用し、ロピニロール塩酸塩がALSにに対して有効であることを発見しました。

 ロピニロール塩酸塩はこれまでパーキンソン病の治療薬として使用されている既存薬です。ロピニロール塩酸塩は神経保護効果があります。

 今回、家族性ALS患者由来の血液細胞からiPS細胞で運動ニューロンを作成し、ロピニロール塩酸塩を作用させた結果、神経細胞突起の短縮、アポトーシスの増加、ミトコンドリア機能障害、異常タンパク質凝集、酸化ストレスの亢進といったALS病態が改善することが分かりました。

 さらに、ALSの原因である運動ニューロン神経細胞死を抑制する効果もあることが分かりました。

 

【まとめ】

 ALSに関する治験は現在も行われています。しかし、治験には多くの費用と時間が必要です。ALS患者も治験には参加したいという思いが強くあったとしても、病気の進行により、次第に身体が動かなくなっていきます。

そのため、通院を続けることが難しくなり、治験を断念せざるを得ない場合もあります。

 また、各治験には治験対象患者の条件があります。

治験に参加したいと思っても治験に参加できない患者は多くいるのです。

 根本的な治療薬のないALS患者にとって、新薬は希望です。

治験、承認を経て、新たな新薬が多くのALS患者の手元に届くことを願っています。